本日は「モメンタム」というインジケーターについて解説をします。
聞いたことはあるけど具体的な計算式はわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、モメンタムとはどんなインジケーターで、Fどのようにして活用するのかといった点を解説します。
モメンタムを知ることで、さらに充実したトレードができるようになるでしょう。
こんな方におすすめ
- モメンタムの計算式が知りたい方
- モメンタムを活用したFX手法が知りたい方
- 相場の勢いが分かるインジケーターを探している方
目次
モメンタム(Momentum)とは?
モメンタムとは、相場の勢いや相場を知るための指標です。
また、モメンタムはオシレータ(振り幅という意味)系と呼ばれる相場の「買われ過ぎ・売られ過ぎ」を示すテクニカル指標に含まれるものの一種として知られています。
たとえば、モメンタムを用いることで、現在の相場がたくさん取引されているのか、あるいは落ち着いているのか、あるいは円安に進んでいるのかといったことが分かります。
このように勢いや方向性が分かるモメンタムですが、実は計算で求めることができ、取引ツールのインジケーターとして取り入れられます。
ここでは、モメンタムの計算式とインジケーターを紹介しましょう。
モメンタムの計算式
モメンタムは、手計算でも簡単にもとめられ、次の計算式で知ることができます。
当日の終値 - n日前の終値=モメンタム
たとえば、10日間のモメンタムを求める場合は、
当日の終値 - 10日前の終値=10日間のモメンタム
この数値を点として、0(ゼロ)を横軸の基準線とするグラフに書き込んでいき、毎日つないでいくと線グラフとなって流れが分かるようになります。
見方については後述しますが、簡単に求められるのが特徴です。
モメンタムと同じ意味を持つインジケーター「ROC」
このモメンタムは、取引ツールにインジケーターとして組み込むことが可能です。
ただし、モメンタムという名称ではなく「ROC(Rate of Change)」と呼ばれるオシレータ系のインジケーターを代用として組み込む場合がります。
ROCとモメンタムとの違いとして、日数ではなく指定した本数より前からの数値が出せる点です。
つまり、モメンタムよりも詳細で細かな数値のグラフを描けるのです。
具体的にROCは、指定した本数前の終値からの変化率を表示するもので、数値ではなく変化率で表示されます。
計算式は次の通りで、モメンタムとは若干異なります。
ROC=(直近の足の終値/指定した本数前の足の終値)-1
米ドル日本円のレートが100.00から101.00に変化した場合、次のようにして求められます。
101.00÷100.00-1=0.01(1.00%)
この場合、ROCは1.00と表示される仕組みです。
ROCを用いることでモメンタムと同じく相場の勢いや方向を知ることができます。
MT4にモメンタム(Momentum)を設定する方法
MT4は、定番のFX取引ツールとして運用されています。
その理由の一つに豊富なインジケーターの数があり、モメンタム(Momentum)についてもROCによる代用ではなく、そのままインジケーターとして設定できるのが特徴です。
ここでは、MT4を導入する方法について解説し、パラメーターの設定についてもまとめました。
それでは、モメンタムの導入方法からみていきましょう。
導入方法
モメンタムをMT4に導入する方法として、ナビゲーターから導入する方法とメニューの「挿入」から導入する方法の2つがあります。
それぞれについて解説していきましょう。
まず、ナビゲーターからの導入として、ナビゲーターから選択して、モメンタムをチャート上にドラッグ・アンド・ドロップする流れで行います。
MT4の画面から、ナビゲーターを選び、「インディケータ」、「オシレーター(オシレーター)」(半角カタカナで表示されている場合があります)と選択していきましょう。
オシレーターの中に無数のインジケーターが羅列されているので、その中から「Momentum」を選びます。
チャート上に直接ドラッグ・アンド・ドロップしてもモメンタムが追加できます。
さらに「Momentum」をダブルクリックすることでもチャート上に追加することが可能です。
次にメニューの「挿入」から導入する方法として、上部のメニューから「Momentum」をクリックする方法もあります。
この場合は、MT4の上部にあるメニューの「挿入」を選び、「インディケータ」を選択、「オシレーター(オシレーター)をクリックしましょう。
その中にある「Momentum」をクリックするとチャートへモメンタムが追加されます。
いずれの方法でも簡単にMT4へモメンタムを導入できるようになっています。
パラメータ設定
モメンタムは、先ほども触れたように何日前の終値を出すかによって設定を変えることができます。
もちろん、MT4上でもモメンタムのパラメーターを設定し、数値の変更をすることについても対応しています。
パラメーターから各タブを選択して数値設定をすることができるため、それぞれの手順について解説し、パラメーターの数値についてみていきましょう。
まず、モメンタムを起動すると、設定画面が表示されます。
ここでパラメータのタブを選びます。
パラメータのタブでは、期間、適用価格、スタイル、下限設定、上限設定の5つが設定可能です。それぞれ次のような意味になります。
①期間:モメンタムの設定期間、デフォルトは「14」日前になっています。
②適用価格:モメンタムの基本は終値(Close)ですが、他にも次のようなパラメーター設定が可能です。
・Open:始値
・High:高値
・Low:安値
・Median Price (HL/2):高値と安値の平均
・Typical Price (HLC/3):高値、安値、終値の平均
・Weighted Close (HLCC/4):高値、安値、終値、終値の平均(終値の比率を2倍にしたもの)
③スタイル:モメンタムの線の色や種類、線の太さの設定です。好きな物を選びましょう。
④下限設定:モメンタムのチャート(サブチャート)の下限値を設定しますが、基本的には指定なしになっています。
⑤上限設定:下限値と同様に上限値の設定が可能で、基本的には指定なしです。
ちなみに画面右下の「リセット」をクリックすると、設定がデフォルトに戻ります。
このほかに、サブチャートの指定した水準に、水平線を表示させる「レベル表示」タブや「表示選択」タブと言って表示設定できるタブも用意されています。
ちなみに表示設定では、次のような設定が可能です。
- モメンタムを全ての時間足に表示させるかどうか
- データ・ウィンドウ内にモメンタムの値を表示させるかどうかを選択
様々な設定が可能になっていますが、基本はデフォルトで問題ありません。
しかし慣れてきたら、あるいはモメンタムのチャートが分かりにくかったら、カスタマイズに挑戦してみましょう。
モメンタム(Momentum)の見方・使い方
モメンタムの導入や設定が完了したら、見方や使い方を知っておきましょう。
モメンタムの見方や使い方として、次の物が挙げられます。
- 環境認識として使う
- 売買サインとして使う
環境認識として使う
まず、モメンタムの使い方として挙げられるのが環境認識です。
環境認識とは、現在の相場がどんな状況なのかを把握して、相場の状態を確認することを言います。
つまり、実際には取引はしないものの雰囲気をつかみ、次の行動につなげるためにモメンタムを用いる方法です。
具体的にはモメンタムのゼロの数値の水平線を基準にするものと、モメンタムの線が横ばいになっている時に相場はどうなっているのかを見るものとが挙げられます。
以上の2つの目安として挙げられるのが次の4つのポイントになります。
100の水平線を基準にするもの
- ゼロより上の数値の時:強気・買い優勢になっている。
- ゼロより下の数値の時:弱気・売り優勢になっている。
モメンタムが横ばいの時、相場がどうなっているか
- 相場が上がっているのに、モメンタムが横ばい:上昇率の低下を意味します。上昇が鈍りはじめている。
- 相場が下落してるのに、モメンタムが横ばい:下落率の低下を意味します。下落が鈍りはじめている。
例えば上の画像だと相場が上昇しているのにモメンタムが平行、さらには下がっていることが見て取れます。
このようなときは上昇が鈍っていると判断することができます。
このような形で環境認識をしますが、実際に売買する場合は売買サインとして利用することもできます。
次の項目では売買サインとして使う方法について解説しましょう。
売買サインとして使う
モメンタムは、売買のアクションをする際に売買サインとして用いることも可能です。
- 100ライン上抜け:買いサインです。100より下にあったモメンタムが100を超えたタイミング(100上抜け)で買いのアクションを行うと成功しやすい傾向があります。
- 100ライン下抜け:売りサインです。100の上にあったモメンタムが100を下回ったタイミング(100下抜け)
以上のタイミングで売買をするとFXのトレードが成功しやすくなるでしょう。
モメンタム(Momentum)の活用方法・FX手法
モメンタムの手法として次のようなものが挙げられます。
- 100ラインブレイク
- ダイバージェンス
- レンジ相場での逆張りスキャルピング
100ラインブレイク
モメンタムにおけるゼロラインブレイクとは、売買のサインとして用いる方法です。
100ライン上抜けのタイミングで買い注文を入れる、あるいは100ラインを下抜けしたタイミングで売り注文を入れるといった手法で利益を狙います。
シンプルな方法ですが、よく用いられます。
ダイバージェンス
ダイバージェンスとは逆行現象という意味です。
モメンタムにおいては、価格とモメンタムが逆行して乖離する動きを見せた時がダイバージェンスといえます。
これは、トレンドの終焉または転換するタイミングの可能性が高まっており、相場が上がっているのにモメンタムが下がっている、あるいはその逆が出現し、価格と逆行して乖離(ダイバージェンス)した時に用います。
ダイバージェンスが発生したら、トレンド転換がおこり、一気に相場が動くと判断するといった使い方がモメンタムのダイバージェンスです。
レンジ相場での逆張りスキャルピング
レンジ相場での逆張りトレードを繰り返し、スキャルピングで短期間に利益を生み出す手法もあります。
たとえば、モメンタムの環境認識を行って、どんどん下がっている状態、つまり売られ過ぎの水準かどうかを判断します。
そして、売られ過ぎの水準で反転したところで買い注文を入れて利益を狙うといった方法です。
反対にモメンタムがどんどん上がった買われ過ぎの水準かどうかを判断し、そこから反転したら売り注文を入れましょう。
モメンタムが極端に下がったり、上がったりしたタイミングでこの手法も用いるのがおすすめです。
モメンタム(Momentum)と相性のいいインジケーターの組み合わせはある?
MT4などの取引ツールではインジケーターを組み合わせることが可能です。
そのため、モメンタムと組み合わせて、より効果的な相場を狙う方法があります。
具体的には移動平均線、RSIが挙げられます。
まず、移動平均線を組み合わせた順張り手法が有効です。
移動平均線とは、一定期間の株価から平均値を出したものをつないだインジケーターでトレンド相場を知ることができます。
今後の相場が上がるのか、下がるのかという予想が立てられる点がポイントです。
モメンタム×移動平均線を使った順張り手法
この2つを組み合わせた際に効果を発揮するのが、移動平均線の短期、中期、後期の3つのラインが同じ方向を向いたパーフェクトオーダーです。
モメンタムが100ラインを超えて、さらに上昇のパーフェクトオーダーになった場合、信頼性がより高い買い注文のシグナルになります(逆も有効)。
モメンタム×RSIを使った逆張り手法
次にモメンタムとRSIを組み合わせた逆張りも好相性です。
RSI(相対力指数)は、直近の一定期間において終値ベースで上昇変動と下落変動のいずれかが強いか分かる指標です。
RSIが20~30%以下であれば相場は売られすぎ、RSIが70~80%以上であれば相場は買われすぎかが分かります。
モメンタムとの組み合わせとして、RSIが30以下&モメンタムが100ラインから下に乖離した売られすぎの状態になったとき買い注文を入れて逆張りします。
すると、かなりの確率で反発して利益を得やすくなります。
一方、RSIが70以上&モメンタムが100ラインから上に大きく乖離した際も売り注文を入れて逆張りすることで利益が得やすくなるでしょう。
このようにモメンタムは他のインジケーターとの組み合わせにも有効です。
モメンタム(Momentum)を活用してFX取引をしよう
モメンタムは、相場の勢いや傾向を把握できる指標です。
RSIなどのオシレーター系の指標でも代用できますが、シンプルな計算式であることから、よく用いられる指標でもあります。
また、MT4にも簡単に組み込むことができ、他のインジケーターと組み合わせることで、より確実な予測が可能となります。
入れるインジケーターを迷っているのであれば、トレンド判断のためにモメンタムを入れてみるのがおすすめです。
コメントを残す