ATRはMT4に初期搭載されているインジケーターであり、無料で使用することができます。
RSIやストキャスなどと比べると、あまり聞き馴染みがないという方も多いのではないでしょうか?
海外ではATRを使用したテクニカル分析を行う方が多いですが、日本ではまだ知名度がそこまで高くない印象です。
優秀な機能を兼ね備えていても、それを知らないのはとても勿体ないです。
無料で使用できますし、個人的にもおすすめのインジケーターですので、今回は「ATR」について詳しく紹介していきたいと思います!
目次
ATRとはどんなFXインジケーターなのか?
上記画像のサブウィンドウに表示されているのがATRです。
ATRとは、Average True Rangeの略であり、「相場のボラリティーを判断することができる」インジケーターです。
「ボラリティ―」とは、チャートにおける価格の変動幅のことであり、平均した変動幅をATRで判断することができます。
ボラリティ―の平均が判断できれば、今の相場の勢いやエントリーポイントも把握が可能です。
ADX(平均方向性指数)の開発などでも知られる、J. ウェルズ・ワイルダー・ジュニア氏が開発したインジケーターであり、長年数多くのトレーダーに使用されています。
ATRインジケーターの計算式について
ATRの内部の計算式の仕組みについても説明させていただきますと、True Range=真の変動幅の求め方ですが、
- 当日の高値ー当日の安値
- 当日の高値ー前日の安値
- 前日の高値ー当日の安値
この(1)~(3)の計算のうち、最大の値になるものを選択し、期間指定した日数で指数平滑移動平均線(EMA)を算出しています。
例えば前日の値動きが、始値=100円、終値=200円、高値=300円、安値=100円
そして当日の値動きが、始値=200円、終値=600円、高値=600円、安値=400円
とした場合、当日だけみたときの価格の変動幅は、安値である400円から高値の600円ですので、(1)の計算式を使い、その差の200円となりますね。
ですが、ATRの算出方法では前日も加味しますので、当日の高値である600円ー前日の安値である100円という(2)の計算式にて、500円という変動幅が計算されます。
ATRでは(1)~(3)の計算式のうち「最大になるもの」を選択するという事でしたので、ここでのTrue Range(真の変動幅)は500円ということですね。
なお、基本的には設定期間は14日間が良いとされています。
J. ウェルズ・ワイルダー・ジュニア氏も「14」という設定を推奨しています。
ATRのFXでの設定方法について
基本的なATRのパラメーター設定に関しては、「期間設定」のみです。色などはお好みで設定いただければと思います。
開発者のワイルダー氏も期間は「14」を推奨しているということもあり、一般的に使用される期間は「14」として問題ないです。
デフォルトで上の画像のように設定が入っていますので、何も変更がなければ起動してすぐに使用することが出来ます。
「下限設定」と「上限設定」については、適用する通貨や時間足によっても変化しますが、自動でこのように数値が入ります。
もし変更したいという場合には、チェックボックスにチェックを入れて、手入力で数値を打ち込めばOKです。
ATRのFXでの使い方について
実際にATRを使用する場合には注意点があります。
まず、ATRの機能として、「相場の変動率(ボラリティー)」を計測するものですので、上昇方向への変動幅が大きいのか下降方向への変動率が大きいのかは関係なくグラフが上昇します。
画像内の赤矢印の部分ではチャート自体も上昇傾向にあり、それにつられてATRも上昇していますね。
ですが、青矢印の箇所では、チャート価格は下降傾向にあるのにも関わらず、ATRは反対に上昇しています。
RSIなどを見慣れている方は、ATRが上昇しているからチャートも上昇していると勘違いしてしまう可能性がありますので、ぜひ気を付けましょう。
なお、四角い黄色の枠の箇所では、ATRが上昇していますが、実際にはチャートではレンジ相場になっています。
多少の動きのあるレンジ相場でもATRの値は上昇してしまう傾向がありますので気を付けましょう。
一般的なATRの見方としては、
- ATRが上昇方向に進んでいる(ボラリティーが上昇) = トレンドが発生する可能性
- ATRが下降方向に進んでいる(ボラリティーが下降) = トレンドが終了、または相場転換の可能性
という見方になります。
基本的にはトレンドの発生、終了を判断するようなイメージですので、大きく揺れ動くレンジ相場の時にはあまり目安にしないほうが賢明です。
ATRインジケーターを利用すれば勝率は上がるのか?
ATRはそもそもFXにおいて活躍できるのか?というと、単独のATRの使用ではなかなか難しいのではないかと思います。
RSIなどのインジケーターでも単独で使用するよりは、他のインジケーターと組み合わせて使用することにより勝率アップを狙うことができるものであり、明確なエントリーポイントや損切ポイントの把握は難しいですよね。
そのため、基本的には、トレンドの発生やトレンドの終わり(相場の転換ポイント)を把握するのに使用し、他のインジケーターでも確証が取れればエントリーをするというようになるかと思います。
例えば当サイトで無料プレゼントをしているインジケーター
「MA-Along」
などはトレンド時の押し目買い、戻り売りを狙うサインインジケーターになるのでとても相性がいいです。
サイン+ATRの数値が○○以上(数値は時間足によって変わります。過去相場のトレンドの初動の数値を参考に決めてください。)
などという条件をプラスしてあげることによりさらにエントリーの精度を上げることができます。
ATRインジケーターを使った利確・損切りの手法とは?
前項では他のインジケーターとの組み合わせをオススメしましたが、エントリーポイントは他のインジケーターやロジックを使用いただければと思います。
ですが、ATRを使用した利確、損切の方法もありますのでここで紹介させていただきます。
ATRを使用した一般的な手法として、エントリー時のATR値を基準とし、そのおよそ3倍の値が利確、損切のポイントとされています。
使用しているトレーダーが多いという事は、そのポイントで価格が転換するという可能性も高いのです。
例えば、エントリー時のATR値が0.003であれば、三倍の0.009付近の値になった時に相場の転換が起きやすいと考え、そこで利確します。
ですがチャート価格は常に変動し、それと共にATR値も常に変動します。
そのためリアルタイムのローソク足で見るというよりは、確定足のローソク足で見たほうがより確実な判断になると思います。
つまり、エントリーは他のインジケーター、ロジックを使用し、利確損切だけATRを使用するというような使い方ですね。
エントリーポイントを判断するには難しいですので、そこは無理にATRだけに頼らず、他のインジケーターと分担して使いましょう。
ATRというFXインジケーターに関するまとめ
ATRはボラリティーを把握する上ではかなり優秀なインジケーターです。
しかし、単体での使用をするにはあまり向いておりませんので、他のロジックやインジケーターと併用していただくことをおすすめします。
注意点さえしっかり理解していれば、普段の使用しているインジケーターでの勝率をアップすることも可能です。
MT4に初期搭載されているインジケーターを使用していない方も多いようですが、どのように使用するのかさえ分かれば状況に応じて有効に使うことが出来ます。
使用しているロジックにぴったりとはまり、大幅に勝率をアップしたというケースも珍しくはありませんので、一つ一つ組み合わせてみたりするのはとてもオススメです。
使ってみると案外単純な機能のものも多いので、ぜひATRも試してみましょう!
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